2026/6/16
お茶の水女子大学大学院(臨床心理学分野)の出題傾向と対策
はじめに
公認心理師・臨床心理士を目指して指定大学院への進学を考えている方にとって、志望校の出題傾向を正確につかむことは、対策の出発点です。
この記事では、人気の高いお茶の水女子大学大学院 人間文化創成科学研究科 人間発達科学専攻 発達臨床心理学コースの専門試験について、近年(令和5〜8年度)の傾向を臨床心理士の視点から整理し、どのような知識と力が求められるのかを解説します。
専門科目の試験時間はおよそ2時間です。限られた時間で論述と用語をバランスよく解き切る必要があるため、傾向を知ったうえでの戦略的な準備が欠かせません。
専門試験の全体構成(3部構成が定着)
近年のお茶の水女子大学大学院の専門試験は、毎年ほぼ同じ枠組みで構成されているのが大きな特徴です。大きく次の3つのパートに分かれます。
臨床心理学の論述問題(アセスメント・支援・理論を問う)
研究法・研究計画の論述問題(研究をどう設計・検証するかを問う)
用語説明問題(5つの専門用語について、それぞれ簡潔に説明させる)
この「臨床論述 + 研究論述 + 用語5問」という骨格が安定しているため、過去の傾向に沿った対策が立てやすい試験だと言えます。逆に言えば、3つのどれかを苦手なまま放置すると失点が大きくなるため、バランスの取れた準備が求められます。
出題の3つの重点テーマ
4年分を通して見ると、問われる内容には明確な重点があります。
① 発達・子ども臨床への比重
コース名が示すとおり、発達臨床の文脈が繰り返し登場します。発達検査・知能検査の意義と限界、子どもの心理療法の理論やセラピストの役割、子どもを対象とした支援プログラムなど、発達段階や子どもの臨床を軸にしたテーマが頻出です。発達心理学と臨床心理学を結びつけて論じる力が問われます。
② 研究法・統計の重視(最大の特徴)
この試験の最も顕著な特徴が、研究法と統計の比重の高さです。研究計画を一から立案させる論述(研究デザイン、データ収集、分析方法、結果に影響する要因の統制、倫理的配慮までを含めて述べさせる)が毎年のように出題されています。
さらに、相関と因果の区別、面接法と質問紙法の比較、効果量や因子分析、質的研究といった統計・研究法の用語も用語問題で繰り返し問われています。
「臨床はできるが研究法は苦手」という受験生がつまずきやすい領域であり、ここが合否を分けるポイントになります。
③ 倫理・法の知識
心理職の倫理や関連する法概念も頻出です。研究における倫理的配慮はもちろん、多重関係、秘密保持に関わる原則、合理的配慮、責任能力に関わる法律用語など、専門家として知っておくべき倫理・法の知識が用語問題などで問われます。
臨床実践と制度・倫理を結びつける視点が求められます。
分野別の対策
臨床論述(パート1)への対策
主要な心理療法・アセスメントの理論的立場を整理し、比較して説明できるようにする
「見立て(アセスメント)→支援」という流れを、具体例を交えて一貫した枠組みで論じる練習
発達検査・知能検査など、アセスメント技法の意義と限界の両面を語れるようにする
研究論述(パート2)への対策 ※最重要
自分で研究計画を書けるようにする。研究目的→デザイン→対象と手続き→倫理的配慮→分析方法、という型を身につける
相関と因果の違いを正確に理解し、交絡要因の統制や追加検証の方法を説明できるようにする
研究法(実験法・調査法・面接法・観察法)の特徴と長所短所を比較できるようにする
効果量・統計的検定・質的研究など、頻出の統計概念を「説明できる」レベルまで
用語説明(パート3)への対策
臨床・発達・統計・精神医学・法倫理と幅広い領域から出るため、ヤマを張らず満遍なく
1語あたり数行で、定義+ポイントを簡潔にまとめる練習。長く書きすぎない
似た概念の違いを問う出題(例:複数の用語の比較)に備え、対概念をセットで覚える
時間配分の考え方(2時間)
論述2題と用語5問を2時間で解き切るには、時間配分の練習が不可欠です。
目安としては、論述2題に各40分前後、用語5問に30分前後、最後に見直しを10分ほど確保する配分が現実的です。
論述に時間を取られすぎて用語が手薄になる失敗が多いため、過去の傾向に沿った模擬演習で時間感覚を体に覚えさせることが重要です。
独学の難しさと対策の進め方
お茶の水女子大学大学院の専門試験は、臨床の理解だけでなく、研究計画を自力で設計し、論述としてまとめる力まで求められる点が、独学では対策しにくい部分です。
研究計画や論述は、自分一人では「これで十分な水準か」を判断しづらく、第三者からの添削とフィードバックで大きく伸びます。
ココロアップアカデミーでは、臨床心理士・公認心理師の講師が、研究計画書の添削、論述の型づくり、統計・研究法の弱点補強まで個別にサポートします。志望校の傾向に合わせた対策で、効率よく合格力を高められます。
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【この記事の執筆者】伊藤之彦(臨床心理士 / 公認心理師) ココロアップアカデミー講師。担当講座は〔心理学・臨床心理学・過去問対策〕。
所属学会:心理臨床学会、認知・行動療法学会、マインドフルネス学会、認知・認知行動療法学会、等々。臨床経験を活かし、難解な科目を初学者にもわかりやすく指導。 ▶ 詳しいプロフィール・指導実績はこちら →(講師紹介ページ)
※本記事は、過去の入試問題の原文を転載せず、出題の傾向・形式を事実として要約・分析したものです。設問の具体的な文言は掲載していません。実際の過去問の入手・閲覧は、各大学の公開情報や所定の手続きをご確認ください。




