2025/10/31
心理系大学院受験 過去問対策 心理学研究法 記述問題その2
前回の記事「【過去問解説】心理学大学院入試の研究計画はこう書く!」では、実験計画の立案方法を学びましたね。
しかし、計画を立てただけでは研究は終わりません。
そこで今回は、その後編として、多くの受験生が頭を抱える「設問2:統計分析」の攻略法を徹底解説します!
「計画は立てたけど、どの分析手法を選べばいいか分からない…」 「『仮説が支持される結果』って、答案にどう書けば正解なの?」
大学院筆記試験対策の中でも、特に臨床心理学研究法のこの部分は、実験計画問題と並ぶ最重要ポイントです。
この記事を読めば、前回の計画と今回の分析がどのように論理的に結びつくのかが、はっきりと見えてきます。
心理学大学院入試問題で求められるのは、計画から分析、結果の解釈までを一貫して説明できる力です。さあ、統計分析への苦手意識を克服し、合格答案を仕上げるための知識を身につけましょう!
【過去問題】
大学の講義授業を教室で対面受講する場合と、授業の中継映像を見てオンライン受講する場合とで、授業内容の理解度に違いがあるかを検討するために、「外向性の高い学生ではオンラインより対面受講の方が授業内容の理解度が高いが、外向性の低い学生では対面よりオンライン受講の方が授業内容の理解度が高い。」という仮説を設定し、実験法で検証を行うことにした。
設問1 この仮説を実験法で検証するための研究計画を立案しなさい。
設問2 1 で得られたデータについて、どのような統計分析を行うか、またどのような分析結果が得られれば仮説が支持されるかを説明しなさい。
今回は設問2の解説です。
設問1のように、実験でデータを集めたら、それを分析するための方法を選びます。
今回は「2要因分散分析」が正解です。
なぜこれを選ぶの?→ ここの理解がとても大切!!
今回の実験では、授業の理解度に影響を与える原因(要因)が2つありますよね。・授業のやり方(対面かオンラインか)
・学生の性格(外向的か内向的か)
「2要因分散分析」は、このように2つの原因が、結果にそれぞれどう影響したか、そしてその2つの「組み合わせ」がどう影響したかを同時に調べることができる、とても便利な分析方法です。
【ここがポイント!】 「原因が2つあるから、2要因分散分析を使います」と、なぜその分析を選んだのか、理由を明確に書くことが評価されます。
交互作用の理解:今回の差がつくポイント
ここがこの問題で一番大事な部分です!「交互作用」という言葉を理解できているかが問われます。
交互作用って何?
一言でいうと、「条件の組み合わせによって、効果の出方が変わること」です。それぞれの原因が単独で及ぼす効果(主効果)とは別に、「AとBが組み合わさった時ならでは」の特別な効果がある、ということです。例えば、
コーヒー(要因A)は、甘党の人(要因B-1)にとっては、砂糖を入れると美味しくなる(プラスの効果)。
でも同じコーヒー(要因A)が、ブラック派の人(要因B-2)にとっては、砂糖を入れるとまずくなる(マイナスの効果)。
このように、相手(条件)によって効果がガラッと変わったり、逆転したりするのが「交互作用」です。今回の問題の仮説を見てみよう!
「外向性が高い学生では対面が良いが、外向性が低い学生ではオンラインが良い」まさにこれ、交互作用ですよね!「授業形式」という原因の効果が、「外向性の高さ」という条件によって逆転しています。
ですので、この仮説を証明するためには、「授業形式と外向性の交互作用がありました!」という分析結果を示すことが絶対に必要なのです。
【ここがポイント!】 答案に「交互作用が統計的に有意(=偶然とは考えられないくらいハッキリと現れること)でなければならない」と書けているかどうかが、合格を左右する最大の分かれ道です。
結果の具体的な説明:明確に詳しく記述する。
「交互作用がありました!」で終わってはいけません。その中身を具体的に説明して、仮説が正しく証明されたことを示す必要があります。
単純主効果の検定:
「交互作用があったので、じゃあ具体的にどう違ったのか、グループごとに詳しく見てみましょう」というのが「単純主効果の検定」です。書くべき内容:
今回の仮説が正しかったことを示すためには、分析の結果、以下の2つの事実がハッキリと示される必要があります。・外向性が高い人たちのグループだけを見ると、対面授業のテストの点数が、オンライン授業の点数より明らかに高かった。
・外向性が低い人たちのグループだけを見ると、オンライン授業のテストの点数が、対面授業の点数より明らかに高かった。
(追加情報)グラフで示すと…:
この結果を、グラフにすると、下の図のように2本の線が交差する(クロスする)形になります。この「線の交差」が、交互作用があったことの視覚的な証拠になります。答案にこのグラフの形について触れられると、「ああ、この人はしっかり理解しているな」と評価がさらにアップします!(グラフのイメージ): 横軸が「対面・オンライン」、縦軸が「テストの点数」です。外向性の高い人の線は左から右へ下がり、外向性の低い人の線は左から右へ上がって、真ん中でバッテン(×)のように交差します。
【ここがポイント!】 交互作用の中身を、仮説と対応させながら具体的に説明できているかが評価されます。
【模範回答】
設問2. 統計分析と期待される結果
分析方法:
各参加者の理解度テストの得点を従属変数とし、授業形式(対面/オンライン)と外向性(高群/低群)を独立変数(要因)とする、2要因分散分析(Two-way ANOVA)を実施する。
仮説が支持されるための分析結果:
仮説が支持されるためには、分散分析の結果において、授業形式と外向性の交互作用が統計的に有意(例:p < .05)であることが必須となる。主効果(授業形式のみ、あるいは外向性のみの効果)の有意性は、この仮説の検証には直接関係しない。
交互作用が有意であった場合、単純主効果の検定を行い、より詳細な分析を進める。仮説が支持されるためには、以下の2つの結果が共に統計的に有意でなければならない。
外向性高群において、対面条件の平均得点が、オンライン条件の平均得点よりも有意に高い。
外向性低群において、オンライン条件の平均得点が、対面条件の平均得点よりも有意に高い。
この結果は、下図のようなグラフで視覚的に表現される。2本の折れ線が交差する(クロスする)パターンになることが、交互作用が存在することを示している。
【おわりに】心理研究法・統計を受験の武器に!!
今回は、心理学大学院入試問題の研究法解説・その2(後編)として、統計分析と結果の解釈について詳しく見てきました。「交互作用」という、仮説を証明するための概念をご理解いただけたのではないでしょうか。
大学院筆記試験対策において、実験計画問題は「研究計画を立てる力」と「データを分析・解釈する力」の二つが揃って初めて完成します。
前半の記事で立てた計画と、今回解説した分析方法が一本の論理的な線で繋がったとき、あなたの答案は採点者に「この受験生は研究計画を立てることができる」と印象付けることができるのです。
とはいえ、「分散分析」や「単純主効果」といった統計の考え方を、独学で答案に落とし込むのは不安に感じるかもしれません。
もしあなたが、 「自分の統計の知識で太刀打ちできるか心配…」 「答案でどの言葉をどう使えば点数に繋がるのか知りたい」 と感じているなら、ぜひ一度、私たち心理系大学院予備校ココロアップアカデミーにご相談ください。
ココロアップアカデミーでは、臨床心理学研究法の基礎から、実際の入試で合格点を取るための応用力まで、一人ひとりのレベルに合わせて丁寧に指導します。統計への苦手意識を克服し、研究法を得点源に変えて、自信を持って本番に臨みましょう。
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