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心理系大学院受験 事例問題対策 〜心理療法編〜 オリジナル問題

Blog心理系大学院受験 事例問題対策 〜心理療法編〜 オリジナル問題

2025/4/21

心理系大学院受験 事例問題対策 〜心理療法編〜 オリジナル問題

心理系大学院受験の事例問題対策です。

説明については、「NOTE」記事をご覧ください。

大学院の専門の試験(臨床心理学)の中でも、事例問題の対策は、非常に難しいと言えます。そこに、具体的な心理療法の技法が加わると、さらに難易度が高くなります。

過去問題を参考に、オリジナル問題を作成しました。


大学3年生のAさんは、ゼミでの発表が近づくにつれ不安を強く感じるようになり、次第にゼミだけでなく他の授業にも出席できなくなっていった。
人前で発言することや他者から評価される状況が大きなストレスとなり、登校を控えるようになった。講義を欠席すると一時的には気分が落ち着くものの、後から自己否定感や孤立感が強まり、「また行けなかった」という自責的な思考に陥る。
現在はほとんど自室に引きこもり、SNSや動画視聴などに時間を費やしている。Aさん自身もこのままではいけないと感じているが、行動を変えるエネルギーが湧かず、無力感を訴えている。
心配した家族が大学に連絡し、大学の心理相談室を紹介された。

【問題】
(1) Aさんの症状について、維持している行動について機能的アセスメントの視点から説明しなさい。
(2) 心理相談室のカウンセラーである、あなたはAさんに行動活性化療法を実施することになった。(1)の機能的アセスメントを踏まえ、Aさんへの行動活性化療法の手続の際の支援計画を立てなさい。

問1 【Aさんの症状の機能的アセスメント】

<Aさんの症状・状態の特徴>

Aさんは、ゼミでの発表や人前での発言を強く不安に感じるようになり、それを避けるために授業を欠席するようになりました。最初はゼミのみの欠席でしたが、次第に他の講義にも出られなくなり、自室に引きこもる時間が増えていきました。現在は、日中は主にSNSや動画視聴に時間を費やしており、外出や人との交流が極端に減少しています。

このような行動パターンを機能的アセスメントの枠組みで見ると、以下のように整理されます。

・先行条件(Antecedent):ゼミでの発表、他者からの評価、対人場面への不安

・行動(Behavior):講義の欠席、自室への引きこもり、SNS・動画視聴といった(回避)行動

・結果(Consequence):不安の一時的軽減(負の強化)、社会的達成感や人との関わりの喪失による抑うつ感

<機能の解説>

Aさんの回避行動は、不安を一時的に和らげるという短期的な機能を果たしていますが、その一方で、社会的接触や達成体験を失うことにより抑うつ的な感情を維持・強化するという悪循環に陥っています。Aさん自身もこの状況を変えたいという気持ちはあるようですが、長期的な自己効力感の低下と活動性の低下(自宅にいること)がさらなる行動抑制を招いていると考えられます。

このように、Aさんの症状は単に「やる気が出ない」といった問題にとどまらず、不安回避→短期的安心→長期的な喪失と抑うつ感の強化という連鎖の中で維持されていることが明らかです。

問2 【大学生Aさんの支援計画】~機能的アセスメントを踏まえた行動活性化の手続き~

 1. 問題状況の整理とアセスメントの要約

◎ 行動とその機能

先行条件:ゼミ発表、人前での注目、評価される不安

行動:授業の回避、自室への引きこもり、SNSや動画への没頭

結果:不安の一時的軽減(負の強化)、しかし孤立・無力感が強化され抑うつ的状態が持続

Aさんの行動は、「不安を避ける」という機能を果たしており、その回避行動が一時的な安堵感を生むことで強化され、結果的に社会的接触や達成体験が失われています。この悪循環を断ち切るには、「気分の変化を待つ」のではなく、意図的に価値ある行動を増やすという行動活性化の枠組みが有効であると考えられます。

 2. 支援の基本方針

行動の“意味”と“機能”を共有し、「少しずつ行動することが感情にも影響する」ことを説明する(心理教育)、その際、不安を避けるのではなく、価値に沿った行動を選ぶ練習を支援の軸とします。成功体験や達成感、つながり感を少しずつ再構築することで、自己効力感と気分の改善を図ります。

3. 支援ステップ(行動活性化の実施手続き)

 Step 1:価値の明確化と長期的目標の設定

「大学に入った目的」「大学で何を学びたいのか、その理由」「卒業後にどんな自分でありたいか」などをカウンセリングで丁寧に聴取します。

例:卒業、就職、他者とつながる、学術的な達成など→ 本人にとって意味のある行動(価値ベースの活動)を明確化する。

Step 2:現在の活動パターンの把握と記録

1週間分の活動記録表(時間・内容・気分)をつけてもらいます。

・活動と気分の関係、特に「気分がやや良くなった活動」を見つけ出す。

・回避行動(SNS、睡眠など)がどの時間帯に出やすいかを可視化。

 Step 3:スモールステップによる行動計画の立案

最初は「登校」ではなく、「学内のコンビニに寄る」「キャンパス周辺を散歩する」「1限の授業開始5分だけZoomで覗いてみる」など、行動のハードルを極力下げます。

・目標は「できるかどうか」ではなく、「予定通りに実行すること」に置く。

・行動ごとに「予想される気分」と「実際の気分」を記録し、ずれを検討。

Step 4:回避行動の置き換えと代替行動の導入

SNSやYouTubeなどの逃避的行動が出そうな時間帯に、「5分だけ歩く」「日記を書く」など別の行動を提案します。

・「やる気が出たらやる」ではなく、「時間が来たら動く」という原則を繰り返し伝える。

 Step 5:強化と振り返りによる学習

できた行動については必ず「良かった点」「楽にできた工夫」を振り返ります。

・小さな達成感の積み重ねを、グラフや一覧表で可視化。

・支援者が「できたこと」を具体的にフィードバックすることで強化。

 4. 予想される困難と対応

<想定される困難 支援の工夫>

例 ・行動前に不安が高まり実行できない

→「5分だけ」「出入り自由」など部分的な関わりを提案

・やるなら完璧にやりたい(完璧主義的傾向がある )

→「やる・やらない」ではなく、「取り組もうとしたかどうか」を評価軸にする。

・行動してもすぐに気分が改善しない(こんなことやっても意味がないと思ってしまう)

→「気分の変化より、生活の充実が大事」という価値ベースの視点を再確認。

5. 最終目標(中期目標と併せて)

【中期目標】 週に1回は大学に足を運ぶ、キャンパス内で買い物をする。信頼できる友人と会話する。

【最終目標】 自己決定に基づいて大学生活を継続し、卒業に向けた活動に前向きに取り組める状態を目指す。

まとめ

Aさんのように、評価不安に起因する回避行動がうつ症状を維持している場合、気分に先立って行動を変えていくことが改善へのカギです。本人の価値観に沿った行動を小さく積み重ねながら、現実的・段階的に支援することが重要です。


いかがだったでしょうか?

なかなか難しい問題だったと思います。

事例問題は、実際に臨床現場の経験がないと難しいところはありますが、軽々豊富な講師と相談しながら、対策を練っていってくださいね。


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