2026/8/1
心理系大学院の志望理由書の書き方|例文と研究計画書との違いも解説
こんにちは。
心理系大学院受験予備校 KoKoRo UP Academy(ココロアップアカデミー)です。
「心理系大学院の志望理由書には、何を書けばいいの?」「研究計画書と志望理由書は、どう違うの?」。出願書類を前に、手が止まっていませんか。
この記事では、心理系大学院の志望理由書の書き方を、研究計画書との違い・基本構成・例文・NG例まで通して解説します。秋入試・春入試を目指す大学生・社会人の方が、読み終えたあとすぐに下書きを始められる内容です。
志望理由書の第一の柱は「研究」──大学院は研究する場所
書き始める前に、いちばん大切な考え方をお伝えします。
志望理由書で第一に書くべきは、「カウンセラーになりたい思い」ではなく、自分が行いたい研究です。
なぜなら、大学院はあくまで研究をする場所だからです。面接官である教員たちは、「この人はうちの研究科で、何を研究したいのか」を最初に知りたがっています。
心理職への熱意はもちろん大切ですが、それだけでは大学院を志望する理由にはなりません。
評価される志望理由書の優先順位は、次のとおりです。
研究内容:自分の研究テーマと、その大学院の指導体制・教員の専門との「フィット」
専門的キャリア:公認心理師・臨床心理士として、どんな専門性を築きたいかの検討
その他:立地や制度など(書くとしても補足程度に)
このフィットを説明するには、志望校の特徴を具体的に捉えている必要があります。研究室訪問や大学院説明会で得た情報が、ここで効いてきます(詳しくは後述します)。逆に、どの大学院にも当てはまる志望理由書は、「本学でなくてもいいのでは?」という印象を残してしまいます。
志望理由書と研究計画書の違い
2つの書類は混同されがちですが、役割がはっきり異なります。
志望理由書 | 研究計画書 | |
|---|---|---|
問いかけ | なぜ「この大学院」で学びたいのか | 「何を・どうやって」研究するのか |
主役 | あなたと大学院のフィット | 研究そのもの |
中心的な内容 | 研究したいテーマ、志望校を選んだ理由、将来のキャリア | 研究の目的・方法・意義、先行研究 |
文体の性質 | 意思と動機を語る文書 | 学術的な設計図 |
ひとことで言えば、志望理由書は「なぜここで」、研究計画書は「何をどうやって」に答える書類です。
ただし、2つは別物でありながら、内容は一貫していなければなりません。志望理由書に書いた研究テーマと、研究計画書のテーマが食い違っていれば、面接で必ず突っ込まれます。
研究計画書側の準備をこれから始める方は、「研究計画書を書き始める前におさえておくべきポイント」からお読みください。
志望理由書の基本構成:4つのブロック
大学院指定の書式・字数がない場合、次の4ブロック構成が基本形です。
研究テーマと問題意識(分量の目安:約4割)
自分が取り組みたい研究の概要と、そのテーマに至った問題意識を書きます。研究計画書の要約ではなく、「なぜ自分がこの問いを追うのか」に重心を置きます。なぜこの大学院なのか(約3割)
指導を受けたい教員の専門、カリキュラム、実習体制など、志望校の具体的な特徴と自分の研究・目標との接点を書きます。ここが志望理由書の心臓部です。専門的キャリアの展望(約2割)
公認心理師・臨床心理士として、どの領域(医療・教育・福祉など)でどんな専門性を築きたいかを書きます。研究テーマとキャリア像がつながっていると、説得力が増します。結び(約1割)
入学後の学びへの意欲を簡潔にまとめます。
順番のポイントは、「思い」から書き始めないことです。原体験を書く場合も、ブロック1の問題意識に織り込む形にすると、感想文化を防げます。
志望理由書の例文と解説【大学生・社会人】
構成を例文で確認しましょう。
いずれも架空の設定によるサンプルです。丸写しは面接で必ず破綻しますので、構成と論理の流れだけを参考にしてください。
例文(大学生・約400字の骨子)
私は、大学生のSNS利用と孤独感の関連について研究したいと考えている。学部のゼミで社会心理学を学ぶなかで、SNS上のつながりが必ずしも孤独感を和らげないという先行研究に出会い、その心理的メカニズムに関心を持った。(=ブロック1:研究テーマと問題意識)
貴学を志望する理由は、青年期の対人関係を専門とされる〇〇先生のもとで研究を深めたいからである。また、貴学の附属心理相談室では1年次から陪席実習が可能であり、研究と実践を往復しながら学べる環境に魅力を感じている。(=ブロック2:なぜこの大学院か)
修了後は公認心理師・臨床心理士の資格を取得し、学生相談の領域で若者の孤独感に向き合う心理職を目指したい。(=ブロック3:キャリア展望)
以上の理由から、貴学大学院を強く志望する。(=ブロック4:結び)
解説:研究テーマ→大学院の具体的特徴→キャリアの順で、一次的な理由(研究)から書かれています。「〇〇先生」「陪席実習」など、その大学院でなければ書けない固有の情報が入っている点が核心です。
社会人の場合の書き方
社会人の方は、ブロック1に職業経験を織り込みます。例えば「営業職として働くなかで、休職者の復職支援に課題を感じ、リワーク支援の研究を志した」のように、経験→問題意識→研究テーマの流れを作ります。職歴の説明自体に字数を使いすぎず、あくまで研究につながる部分だけを抽出するのがコツです。
よくあるNG例5選と改善のポイント
添削の現場でよく出会うNGパターンを5つ紹介します。
NG例1:「人の役に立ちたい」で終わっている
「人の心に寄り添える心理士になりたく、貴学を志望した」 → 熱意は伝わりますが、研究への言及がなく、どの大学院にも出せる内容です。研究テーマを第一の柱に据えましょう。
NG例2:志望校の情報が「評判」レベル
「貴学は臨床心理の分野で高い実績があると伺い志望した」 → 具体性がなく、調べていないことが伝わってしまいます。教員名・実習体制・カリキュラムなど、固有の情報に置き換えます。
NG例3:自分史が長すぎる
生い立ちや過去のエピソードが分量の大半を占めるパターンです。 → 原体験は問題意識につながる範囲で2〜3文に圧縮し、紙面は研究とフィットの説明に使います。
NG例4:研究計画書と内容がずれている
志望理由書では発達障害支援、研究計画書では別テーマ、というちぐはぐな状態です。 → 出願書類一式は面接官に並べて読まれます。提出前に、テーマ・用語・将来像の一貫性を必ず確認しましょう。
NG例5:キャリア展望が抽象的
「資格を取っていろいろな場で活躍したい」 → 領域(医療・教育・司法・産業・福祉)と役割のイメージまで踏み込みます。未確定でも「現時点の考え」を具体的に書くことが誠実さにつながります。
説得力の源は情報収集:研究室訪問と大学院説明会
ここまで見てきたとおり、志望理由書の説得力は文章力より情報量で決まります。「志望校の特徴を具体的に捉え、自分の研究とのフィットを語れるか」がすべてです。そのための行動は3つあります。
大学院説明会に参加する:カリキュラム・実習体制・入試の方針を一次情報で得られます。質疑応答の内容は志望理由書の素材になります
研究室訪問(教員へのコンタクト):訪問の可否は大学院により異なります。募集要項や研究科サイトで方針を確認し、可能であれば事前にメールでアポイントを取りましょう
教員の論文・著書を読む:訪問が難しい場合も、指導を受けたい教員の近年の研究は必ず確認します。志望理由書の「フィット」の記述が具体的になります
志望校がまだ絞り切れていない方は、選び方の基準から整理するのが先決です。「心理系大学院受験〜志望校はこうやって選ぼう〜」を参考にしてください。
また、ココロアップアカデミーでは複数の大学院の情報に触れられるイベント「心理フェスタ」も開催しています。情報収集の機会としてご活用ください。
心理系大学院の志望理由書に関するよくある質問
Q1. 志望理由書の文字数はどのくらいですか?
A. 大学院の指定により異なりますが、800〜2,000字程度の指定が一般的です。指定がある場合は9割以上を埋めましょう。指定がない場合は1,000字前後を目安に、密度を優先してください。
Q2. 複数の大学院に、同じ志望理由書を使い回してもいいですか?
A. 研究テーマやキャリア展望の部分は共通で構いません。ただし「なぜこの大学院か」のブロックは、志望校ごとに必ず書き分けてください。使い回しの志望理由書は、教員が読めばすぐにわかります。
Q3. 志望理由書の内容は面接で聞かれますか?
A. 必ず聞かれると考えて準備してください。志望動機は面接の定番質問であり、書いた内容の深掘りに答えられるかが見られます。研究計画書とあわせた面接準備は「研究計画書完成後のポイント〜全体確認&面接対策〜」で解説しています。
Q4. 指導を受けたい教員の名前は書くべきですか?
A. 書ける場合は書くことをおすすめします。フィットの説明が具体的になるためです。ただし、その教員の研究内容を正しく理解していることが前提です。名前だけ挙げて中身を語れないと逆効果になります。
Q5. 他学部出身で心理学の学習歴が浅くても、志望理由書で不利になりませんか?
A. 学習歴そのものより、「なぜ心理学の研究に進むのか」の論理が通っているかが重要です。現在の学習状況と、これまでの専攻・経験を研究にどう活かすかを書ければ、むしろ独自性として評価され得ます。
まとめ:志望理由書は「研究とのフィット」で決まります
心理系大学院の志望理由書は、研究内容を第一の柱に、キャリアの検討を第二の柱に据えて構成します。そして説得力の源は、研究室訪問や説明会で志望校の特徴を具体的につかむことです。まずは4ブロックの構成に沿って、下書きを作ってみてください。
とはいえ、「自分の書いた志望理由が独りよがりになっていないか」は、自分では判断しづらいものです。ココロアップアカデミーでは、無料個別相談を行っています。志望理由書や志望校選びのお悩みに、臨床心理士・公認心理師の講師がお答えします。お気軽にご相談ください。
監修:臨床心理士・公認心理師 伊藤之彦




