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心理英語 #7:echo chamberの罠―SNSが分断する社会と心の健康

Blog心理英語 #7:echo chamberの罠―SNSが分断する社会と心の健康

2024/12/16

心理英語 #7:echo chamberの罠―SNSが分断する社会と心の健康

心理英語の窓をひらこう:最新心理学記事で学ぶ表現と知識

Opening the Window to Psychological English: Learn Expressions and Knowledge through the Latest Psychology Articles

このブログでは、心理学、脳科学、精神医学などの最新の英語論文から、興味深いトピックをピックアップして解説します。英語が得意でない方でも理解しやすいように、重要なフレーズや単語の意味を分かりやすく紹介し、心理英語の世界に自然と慣れ親しめる内容を目指しています。リラックスして読み進める中で、心理系大学院の受験にも役立つ英語力が少しずつ身につく、そんな実践的でフレッシュな記事をお届けします。


エコーチェンバー(echo chamber)の罠―SNSが分断する社会と心の健康

皆さん、こんにちは!公認心理師や臨床心理師を目指して心理系大学院を受験する皆さんの英語学習を応援するブログです。今回も息抜きを兼ねながら、気軽に心理英語の表現に親しんでいきましょう。

突然ですが、最近SNS上での議論に接し、知らないうちに心の中での高揚感や或いはモヤモヤ感を覚えた経験はありませんか?SNSは一見、私たちを多様な情報や意見に触れさせてくれるように思います。しかし実際には、"見えない壁"を作り出し、意見が偏った環境に私たちを閉じ込めてしまう危険性があります。その現象の一つがエコーチェンバー(echo chamber)です。今回は、このエコーチェンバーが社会と心に与える影響について、心理英語の表現に触れてみます。

SNSとEcho Chamber

SNSは、誰とでも簡単に繋がり、膨大な情報にアクセスできる便利なツールです。しかしその一方で、SNSがエコーチェンバー(echo chamber)という現象を引き起こすことが問題視されています。エコーチェンバーとは、自分と同じ意見があらゆる方向から返ってくる「反響室」のような狭いコミュニティで、自分と同じ意見や視点が増幅・強化され、異なる意見や視点が排除される現象を指します。

While social media makes it easy to connect with and access information from anyone, they also facilitate basic influence and unfriending mechanisms that may lead to segregated and polarized clusters known as 'echo chambers.'

〔訳例〕
SNSは誰とでも簡単に繋がり、情報にもアクセスできる一方、他者に影響を与える基本的な仕組みや、友達解除のメカニズムを通じて、「エコーチェンバー」と呼ばれる分断された極端な集団を生み出す可能性があります。

〔解説〕
unfriending mechanisms: 
SNS上で友達を解除する仕組みや行動を指します。unfriendは、SNSの友人リストから特定の人を削除する行為を指す他動詞で、この行為が繰り返されることで、異なる意見を持つ人々を自分のネットワークから排除し、偏った情報環境が形成される言われています。

polarized clusters: 
「極端な集団」を意味します。polarizedは「二極化した」「分裂した」といった意味で、clustersは「集団」や「グループ」を表します。SNSでは似た考えの人々が集まりやすいことを示しています。

このように、SNSは私たちを多様な情報に触れさせているようで、実際には情報や人間関係が偏りやすい仕組みを内包しているのです。

エコーチェンバーが生まれる仕組み

SNSでは、個々の興味や行動履歴に基づくアルゴリズムが情報を選別します。アルゴリズムは、過去のクリックやいいねの履歴に基づき、ユーザーが好む情報を優先的に表示します。この仕組みによって、私たちは自分と似た意見や興味を持つ人々が発信する情報ばかりを目にするようになります。その結果、自分と異なる意見を目にする機会が減少し、エコーチェンバーが形成されます。
研究では、この現象を解明するためにいくつかの仕組み(model)を仮定し、それをシミュレーションすることで、ネットワーク内で何が起きるかを分析しています(Kazutoshi Sasahara et al., 2020)。

The model dynamics show that even with minimal amounts of influence and unfriending, the social network rapidly devolves into segregated, homogeneous communities.

〔訳例〕
このモデルの展開により、わずかな影響力の行使や友達解除であっても、ソーシャルネットワークは急速に分断され、均質化したコミュニティへと変化してしまうということが明らかになっています。

〔解説〕
the model dynamics:
研究で用いられるモデル(仮想的なネットワークや仕組み)の動きや変化を分析することを指しています。SNS上での人々の行動やネットワーク全体の変化を再現することで、特定の条件下で何が起きるのかを明らかにするものです。

devolves into ~:
「徐々に変化して~になる」という意味で、通常はネガティブな状況への変化を指します。この文脈では、ネットワークが徐々に分断されることを表しています。

homogeneous:
「均質な」「同質の」という意味。エコーチェンバーの中で、似た意見を持つ人々だけが集まることを表現しています。

心理的健康への影響

エコーチェンバーの現象は、心理的健康にも影響を与えます。同じ意見を共有するコミュニティにいることは一時的な安心感を与えるかもしれませんが、他者との対話や新しい視点を得る機会が減少します。この閉鎖的な環境は、偏見やストレスを増幅させ、結果として心理的な負担を大きくする可能性があります。この点については、過去の記事「選挙とトラウマの意外な関係――心の分断(affective polarization)は癒されるのか?」 (https://kokoro-up.com/blog/4ATNo4gz )も併せてお読みください。選挙や政治的分断と感情の関係について解説しています。

今回は「SNSとエコーチェンバー」をテーマに、SNSが引き起こす社会的分断や心理的健康への影響についての英語表現に触れてみました。SNSがもたらす光と影については、海外でも大きな社会的関心事となっています。SNSがもたらす利便性を享受しつつ、その裏にあるリスクにも目を向けることが重要ですね。

次回もまた、心理系大学院受験の英語対策に役立つ実践的でフレッシュな話題をお届けしたいと思います。

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【この記事を書いた人】 
   木村 崇志  ココロアップアカデミー講師 臨床心理士・公認心理師


引用文献

著者: Kazutoshi Sasahara, Wen Chen, Hao Peng, Giovanni Luca Ciampaglia, Alessandro Flammini & Filippo Menczer

投稿日: September 11, 2020

記事タイトル: Social influence and unfollowing accelerate the emergence of echo chambers

出典: Journal of Computational Social Science   https://link.springer.com/article/10.1007/s42001-020-00084-7

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