KoKoRo UP Academy

ココロアップアカデミー│心理系大学院受験予備校

Pagetop

Top

/

Blog記事一覧

/

相関係数とは|ピアソン・スピアマンの違いと解釈をわかりやすく解説

Blog相関係数とは|ピアソン・スピアマンの違いと解釈をわかりやすく解説

2025/9/9

相関係数とは|ピアソン・スピアマンの違いと解釈をわかりやすく解説

「心理統計学シリーズ」の第5弾です。今回は、2つの関係性を探る「相関係数」のお話し。「〇〇と××は関係がある」といったように、日常の中にも見られる事象です。これが、統計学上ではどういう風に表されるのか、少し専門的になりますが、頑張って読んでくださいね。心理学大学院受験の試験問題でも頻出分野です。

はじめに:心理学研究における「関係性」の探求

  心理学の研究は、突き詰めれば、私たちの心や行動に関連する様々な「変数」の間の「関係性」を理解しようとする営みです。

 例えば、「自尊心と学業成績にはどのような関係があるのか」「新しいカウンセリング技法は、不安レベルを低下させる効果があるのか」といった問いは、すべて変数間の関係性を問うています。

 今回、こうした関係性をデータから読み解くための、強力で汎用性の高い統計手法を学びます。

 相関係数は、2つの変数がどの程度の強さで、どのような方向に関連しているかを数値で示すためのツールです。これは、パラメトリック検定ノンパラメトリック検定において、グループ間の差などを比較するための重要な手法です 。  

 パラメトリック検定における代表的な相関分析はピアソンの積率相関係数であり、変数が連続尺度で測定され、正規分布に近似していること、さらに線形的な関係が前提とされます。

 ピアソン相関は母集団のパラメータ(平均や分散)に基づいて推定を行うため、統計的検出力が高く、条件が満たされれば効率的な推論が可能です。ただし、外れ値や非線形関係の影響を受けやすいという限界があります。

 一方、ノンパラメトリック検定では、データの分布形状や尺度水準に関する仮定を必要とせず、順位情報に基づいて相関を評価します。代表的な指標としてスピアマンの順位相関係数ケンドールの順位相関係数が挙げられます。

 これらは、順序尺度や分布が歪んでいるデータに適用でき、外れ値の影響を受けにくいという利点があります。ただし、パラメトリック手法に比べて検出力がやや低いことが指摘されています。

 このように、相関係数の選択においては、データの性質や研究目的に応じて、パラメトリック検定とノンパラメトリック検定を適切に使い分けることが求められます。

パラメトリック検定

  • 前提条件
    データが 正規分布に従う ことや、分散が等しい(等分散性) ことなどを仮定します。

  • 代表例

    t検定(平均値の差を検討)

    分散分析(ANOVA)

    ピアソンの積率相関係数

  • 特徴
    母集団の分布に関するパラメータ(平均や分散)を前提にして推論するため、

    検出力(差を見つける力)が高い

    条件が整っていれば効率的に使える

ノンパラメトリック検定

  • 前提条件
    正規分布などの仮定を置かない(=分布に依存しない)。
    データが 順序尺度や名義尺度 の場合や、
    パラメトリック検定の前提が満たされない場合に用いる。

  • 代表例

    カイ二乗検定(カテゴリーデータの関連)

    Mann–WhitneyのU検定(独立2群の順位比較)

    Wilcoxonの符号付順位検定(対応あり2群の比較)

    Spearmanの順位相関係数

  • 特徴

    前提条件がゆるいので使いやすい

    ただし、検出力はパラメトリック検定より低いことが多い

※ 受験全体の進め方については、無料セミナー「心理フェスタ」でお話ししています → 日程はこちら

第1部:二変数間の関係性を捉える—相関係数

1-1 ピアソンの積率相関係数:線形関係の強さと向き

 心理学の研究で最も頻繁に用いられるのが、2つの変数間の関係性を調べる相関分析です。
 その代表格がピアソンの積率相関係数(Pearson's product-moment correlation coefficient)であり、通常、単に「相関係数」という場合はこのピアソンの積率相関係数を指します 。
 この係数は、記号 で表され、2つの連続変数(間隔尺度または比率尺度)の間の線形(直線的)な関係の強さと方向を要約する指標です 。  

相関の視覚化:散布図の重要性

 相関係数を計算する前に、まずデータを散布図(scatter plot)で可視化することが極めて重要です。
 散布図は、横軸に一方の変数(X)、縦軸にもう一方の変数(Y)をとり、個々のデータ点をプロットしたグラフです。
 この点の分布パターンを見ることで、2変数間の関係性の全体像を直感的に把握できます 。  

  • 正の相関:点が右上がりの傾向を示す場合。一方の変数が増加すると、もう一方の変数も増加する関係(例:勉強時間とテストの点数)。

  • 負の相関:点が右下がりの傾向を示す場合。一方の変数が増加すると、もう一方の変数は減少する関係(例:車の速度と目的地までの所要時間)。  

  • 無相関:点に明確なパターンが見られず、全体に広がっている場合。2つの変数間に直線的な関係が見られない状態。

 散布図を描くことで、これから計算する相関係数がどのような値になりそうか予測できるだけでなく、後述する「外れ値」の存在や、関係性が直線ではない(非線形)可能性など、数値だけでは見落としがちなデータの重要な特徴に気づくことができます 。  

相関係数 r の値の解釈

 ピアソンの積率相関係数 は、常に -1.0 から +1.0 の間の値をとります 。  

  • r = +1.0:完全な正の相関。データ点が完全に一直線上に並び、右上がりの関係を示します。

  • r = -1.0:完全な負の相関。データ点が完全に一直線上に並び、右下がりの関係を示します。

  • r = 0:無相関。2つの変数間に直線的な関係が全くないことを意味します。

  r の値が +1.0 に近いほど強い正の相関、 -1.0 に近いほど強い負の相関があることを示します。 0 に近いほど、相関は弱いと言えます。心理学研究における相関の強さの解釈には慣例的な目安がありますが、これらは絶対的な基準ではありません。

 例えば、|r| =0.5を「(中程度以上の)相関がある」、|r|= 0.7 を「強い相関がある」と解釈することがありますが、分野や研究対象、サンプルサイズによってその意味合いは大きく異なります 。  

深掘り:共分散から相関係数へ

 相関係数の公式は複雑に見えますが、その成り立ちを理解すると非常に論理的です。

まず、2つの変数が「共に変動する」度合いを示す共分散(covariance)という指標があります。

 共分散は、片方の変数の偏差(平均からのズレ)ともう片方の変数の偏差を掛け合わせたものの平均値です。しかし、共分散は元の変数の単位(例:cm, kg, 点)に依存するため、異なる測定単位の変数間の関連の強さを比較することができません。

 この問題を解決するのが標準化です。ピアソンの積率相関係数 は、共分散をそれぞれの変数の標準偏差の積で割ることによって算出されます。

= Sxy​​ / Sx​Sy

ここでSxyは共分散、SxとSyはそれぞれの変数の標準偏差です。

 この操作により、元の単位がキャンセルされ、-1.0から+1.0という普遍的な尺度を持つ「無次元量」となります 。

 つまり、相関係数の本質は「 標準化された共分散」であり、これによって私たちは身長と体重、不安スコアと反応時間といった全く異なる単位を持つ変数間の関連性の強さを、同じ土俵で比較できるのです 。  

1-2 相関の解釈における最重要原則:「相関は因果を含意しない」

 統計学を学ぶ上で、そして将来研究者になる上で、心に刻むべき最も重要な原則が「相関関係は因果関係を意味しない(Correlation does not imply causation)」ということです 。
 2つの変数AとBの間に高い相関が見られたとしても、それだけでは「AがBの原因である」と結論づけることは絶対にできません。  

観測された相関関係の背後には、少なくとも以下の3つの可能性が考えられます 。  

  1. AがBの原因である (A ⇨ B)

  2. BがAの原因である (B ⇨ A):因果の方向性が逆である可能性。

  3. 第3の変数Cが、AとBの両方の原因である (C ⇨ Aかつ C ⇨ B)

疑似相関(見せかけの相関)の罠

  特に注意すべきは3番目の可能性で、これは疑似相関(spurious correlation)あるいは「見せかけの相関」と呼ばれます 。

 2つの変数の間に直接的な因果関係はないにもかかわらず、両方に影響を与える共通の変数( 交絡変数や潜伏変数と呼ばれる)が存在するために、あたかも関係があるかのように見えてしまう現象です。

有名な例をいくつか見てみましょう。

  • アイスクリームの売上と水難事故の発生件数:この2つの変数の間には、夏に強い正の相関が見られます。しかし、「アイスクリームを食べると溺れやすくなる」という因果関係はありません。共通の原因である「気温の上昇」が、アイスクリームの売上を増やし、かつ海や川で泳ぐ人を増やして水難事故を増加させているのです 。  

  • コンビニの店舗数と犯罪発生件数:都市部では、この2つの変数に正の相関が見られることがあります。しかし、コンビニが増えると犯罪が増えるわけではありません。共通の原因である「人口密度」が高い地域では、コンビニの需要も高く、同時に犯罪が発生する機会も多くなるのです 。  

  • マーガリンの消費量と離婚率:あるデータ分析で、この2つの変数間に驚くほど高い相関が見つかりました。しかし、マーガリンが離婚を引き起こすという科学的根拠は全くありません。これは、膨大なデータの中から偶然見つかっただけの、意味のない相関です 。  

 人間の脳は、パターンを見つけるとそこに因果的な物語を作りたがる強い認知バイアスを持っています 。 

統計学の訓練とは、この直感的な飛躍を抑え、観測された相関に対して、因果関係以外の複数の可能性を体系的に検討する科学的規律を身につけることでもあります。

 大学院入試では、この批判的思考力が試されます。  

1-3 順序データのための相関係数:スピアマンのρ(ポー)とケンドールのτ(タウ)

 ピアソンの積率相関係数 r は非常に有用ですが、その適用には条件があります。

 それは、分析対象の変数が間隔尺度または比率尺度であり、かつ両者の関係が直線的であることです。

 データが順位(1位、2位、3位…)で表される順序尺度の場合や、関係性が一方向的(単調増加または単調減少)ではあるものの直線ではない場合には、ピアソンの r を用いるのは不適切です 。  

このような状況で用いられるのが、順位相関係数です。

スピアマンの順位相関係数 (ρ)

  スピアマンの順位相関係数(Spearman's rank correlation coefficient, ρまたはrs)は、ノンパラメトリックな相関係数の中で最もよく使われます。

 その計算方法は非常に直感的で、各変数の生の値を順位に変換し、その順位データに対してピアソンの積率相関係数を計算するというものです 。  

  値を順位に変換することで、元のデータの分布形状や外れ値(極端に大きい、または小さい値)の影響を受けにくくなるという大きな利点があります。

 そのため、ピアソンの r の前提条件が満たされない場合(例:データが正規分布していない、外れ値がある)にも、頑健な代替手法として利用できます 。  

ケンドールの順位相関係数 (τ)

 ケンドールの順位相関係数(Kendall's rank correlation coefficient, τ)も、順序データに用いられるもう一つのノンパラメトリックな相関係数です 。

 これは、データのペアをすべて比較し、「順序が一致しているペア(concordant pairs)」と「順序が逆転しているペア(discordant pairs)」の数を数えることに基づいて計算されます。  

どちらを使うべきか?

 スピアマンの ρ とケンドールの τ の使い分けに厳密なルールはありませんが、いくつかの経験則があります。

 一般的に、スピアマンの ρ の方が絶対値が大きくなる傾向があります。

 また、データ内に同じ順位(タイ)が多く含まれる場合は、スピアマンの ρ の方が扱いやすいとされています 。

 大学院入試レベルでは、まずスピアマンの順位相関係数が「順位データに対するピアソンの相関係数」であることを理解しておくことが最も重要です。  

1-4 第三の変数の影響を統制する:偏相関係数

 前述の「疑似相関」の問題、つまり第3の変数が2つの変数間の関係に見かけ上の影響を与えている可能性は、心理学研究において常に考慮すべき重要な課題です。

 この第3の変数の影響を統計的に取り除き、2つの変数間の「純粋な」関係性を評価したい場合に用いるのが偏相関係数(partial correlation coefficient)です 。  

 偏相関係数の基本的な考え方は、「変数Xと変数Yの関係を調べる際に、両方に影響を与えている可能性のある変数Zの影響を統制(control)する」というものです。

 具体的には、変数Xの変動のうち変数Zで説明できる部分と、変数Yの変動のうち変数Zで説明できる部分をそれぞれ取り除き、その「残りかす」同士の相関を計算します 。  

具体例で理解する

 ある研究で、「子どものテレビゲームの時間(X)」と「攻撃性スコア(Y)」の間に正の相関が見られたとします。

 しかし、研究者は「親の監督不十分度(Z)」が両方の変数に影響しているのではないかと疑いました。

 つまり、監督が不十分な家庭では、子どもが長時間ゲームをする傾向があり、かつ攻撃性も高まるのではないか、という仮説です。

 ここで偏相関係数を用いると、「親の監督不十分度の影響を統計的に統制した上で、テレビゲームの時間と攻撃性の間の相関」を算出できます。

 もしこの偏相関係数が元の相関係数よりも大幅に小さくなれば(例えば0に近い値になれば)、元の相関は主に「親の監督不十分度」によって説明される疑似相関であった可能性が高いと結論できます。

 逆に、偏相関係数が依然として高い値を示せば、監督不十分度の影響を除いてもなお、ゲーム時間と攻撃性の間には直接的な関連がある可能性が示唆されます 。  

 偏相関係数を理解することは、単一の統計手法を学ぶ以上の意味を持ちます。

 これは、複数の変数が複雑に絡み合う現象を分析するための第一歩であり、この「特定の変数の影響を統制する」というロジックは、大学院で学ぶ重回帰分析などのより高度な多変量解析の基礎となる極めて重要な考え方です。

 相関係数は、一見シンプルな数値ですが、その背後にはデータの分布や前提条件、さらには因果関係をめぐる解釈上の注意点など、多くの学びが詰まっています。

 心理学の大学院受験においては、単に計算方法を覚えるだけでなく、「なぜこの検定を選ぶのか」「その前提が崩れたらどう対応するのか」といった批判的な視点が問われます。

 今回の記事を通じて、数値の意味を深く理解する一助となれば幸いです。次回も、心理統計学の面白さと実践的な学びをお届けしますので、どうぞお楽しみに。


心理系大学院の受験を考えている方へ

心理系大学院の入試では、用語を理解していることと、答案として書けることは、別の力になります。

心理統計は、独学でいちばん挫折しやすい領域です。 理由は、分からない箇所に出会ったとき、 それが「調べれば済むこと」なのか「根本から誤解していること」なのかを、 自分では判断できないからです。 ここで何週間も費やしてしまう受験生を、私たちは毎年見てきました。

ココロアップアカデミーでは毎月、無料オンラインセミナー「心理フェスタ」を開催しています。

志望校の選び方、研究計画書の進め方、専門科目・英語の対策まで、受験の全体像を最初からお伝えします。

心理学がはじめての大学生・社会人の方も歓迎です。カメラ・マイクはオフのままご参加いただけます。

・今月の心理フェスタの日程を見る(参加無料)はこちら

・日程が合わない方には、無料の個別相談もご用意しています。


ココロアップアカデミーでは、統計学を含む重要分野についての心理学講座や模擬試験、記述練習、個別指導などを通じて、受験生の理解と実践力を高める支援を行っています。

講座の詳細は、カリキュラム紹介ページをご覧ください。

ブログTOPへ

ホームページTOPへ