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社会人が心理職を目指す為の準備と計画 ~最初の壁、大学院受験を乗り越える~ 

Blog社会人が心理職を目指す為の準備と計画 ~最初の壁、大学院受験を乗り越える~ 

2024/10/1

社会人が心理職を目指す為の準備と計画 ~最初の壁、大学院受験を乗り越える~ 

臨床心理士や公認心理士を目指すことを決めた社会人の中には、大学を卒業して長い時間が経ち、勉強することからすっかり離れてしまった方も多いでしょう。インタビュー記事に登場する講師のような心理学を初めて学ぶ、もしくは大学時代に一度学んだものの、時間が経過するうちに忘れてしまった場合もあるかもしれません。そうした社会人にとって、大学院を受験し、心理学の世界に足を踏み入れることは、大きな挑戦となります。

今回は、特にそうした社会人の受験者が遭遇しそうな特有の壁に焦点を当て、その壁を乗り越えるための戦略と準備について考察します。これを読んで、年齢や背景に関わらず、準備次第で心理職への道が開かれるというメッセージを感じ取っていただければ幸いです。


立ちはだかる壁

社会人(特に初学者)が心理学系大学院を受験する際、主に次の3つの壁が存在します。

1つ目は、心理学の基礎スキーマができていないことです。多くの社会人は、初学者であるか、卒業後長い間心理学から離れており、プランを立てる前提として必要な心理学スキーマ、つまり心理学の全体像や、各項目それぞれの繋がりや前後関係に関するイメージ、難易度や力の入れどころの感覚、、etc.が漠然としていることが多いでしょう。そのため、勉強プランを立てる際にまったく実感が湧かず、何をどのように学べば良いのか見通すら立たないことがあります。

2つ目は、孤立感です。現役学生とは異なり、周りに同じように受験に挑む仲間がいないため、不安を共有できる場が限られます。この孤独感が、受験準備のモチベーションを下げてしまう原因にもなり得ます。

3つ目は、時間の確保とペース配分の難しさです。仕事や家庭との両立が必要な社会人にとって、勉強時間を捻出すること自体が困難であり、計画を立ててもその通りに進められないことが多々あります。また、モチベーションを維持し続けることもまた一つの課題です。

対策と心構え:好き&本気&作戦の3本柱

これらの壁を乗り越えるための基本戦略として、私は「好き&本気&作戦の3本柱」を意識することを提案します。

好き:心理学に対する興味や情熱を再確認することが、学習意欲の源泉となります。なぜ心理学を目指したのか、どんな領域に興味があるのかを見つめ直すことで、勉強のモチベーションが自然と高まります。

本気:本気で心理職に挑戦する覚悟を持つことが重要です。特に社会人の場合、仕事や家庭とのバランスを取りながら勉強を進めるためには、目標に対して強い意志を持つことが不可欠です。今まで本気になったことがない人であれば、寧ろチャンスかもしれません。本気になったときには、自分でも信じられない力が発揮されるものです。

作戦:最後に、具体的で成功する確率の高い計画を早い段階で立てることが成功への鍵です。信頼できる人や専門家に相談しながら、無理のない勉強計画を組み立てていくことが大切です。過去問の傾向分析などはもちろん、確保した勉強時間を無駄にしない為の自己管理メカニズムをどう設定するかなど、専門家の協力をうまく活用することがポイントになります。

計画の立て方:

①    心理学スキーマを早期に確立する

まず、計画の立て方で重要なのは、先程も述べた心理学のスキーマを早期に確立することです。心理学を学ぶための基礎となるフレームワークを築くことで、勉強の進め方に自信が持てるようになります。具体的には、臨床心理学に関する読みやすい本を一冊読破することや、基礎心理学分野の学習をまずは一通り済ませることを推奨します。私の場合は、河合隼雄先生の『ユング心理学心理学入門』を座右に置き、心理臨床のイメージを高めるとともに、モチベーションアップにも役立てていました。

②    忘れることを前提としたスケジュール作り

また、計画には忘却を前提とした工夫が必要です。心理学者エビングハウスの「忘却曲線によると、人は学んだ内容の多くを時間と共に忘れてしまいます。そのため、例えば1週間を「5日間の入力日」と「2日間の復習日」に分けて予定を立てるなどの工夫が効果的です。また、忘却を前提にした計画を立てることで、心理的な余裕が生まれ、モチベーションアップにも繋がります。

効果的な勉強法:エビングハウスとエピソード学習

先述した、エビングハウスの忘却曲線に基づく勉強法を活用しましょう。慣れてくると、記憶が怪しくなるタイミングが分かってきます。そのタイミングに復習の時間を設けることで、効率的に記憶を強化することができます。

さらに、「エピソード記憶」を活用した学習法もお勧めです。大人になると丸暗記が苦手になりますが、これは「脳の衰え」ではなく、「脳の発達」によるものだとも言われています。大人の脳は海馬が発達し、自分が生きていくうえでの直接的な意味のない情報よりも、強い感情やエピソードに関連づいた有意味な情報を記憶しやすくなります。このため、心理学の概念や英単語などを自分の体験や出来事、或いは勉強をしているときの環境や感情体験などと結びつけながら学習することが効果的です。著者(私)の場合は、綺麗なノートではなく、1枚1枚色や書かれていることが異なる折り込みチラシの裏をあえてノート代わりに使うことで、より暗記の作業にエピソード性を加える工夫をしていました。疲れたら裏返してみるなどの楽しみもあって、効果もまずまずだったように記憶しています。

おわりに:計画と作戦が道を開く

年齢や背景に関わらず、臨床心理士や公認心理師への道は、理にかなった計画的な準備と「好き&本気&作戦の3本柱」でより確実に開かれます。もちろん、壁にぶつかることもあるでしょう。しかし、そうした時こそ、柔軟に戦略を見直しながら進むことが大切です。自分を信じて準備を進めることで、新たな挑戦があなた自身を成長させ、心理職としての将来を切り開く力になるでしょう。年齢やキャリアにとらわれず、自分にできることを積み重ねていけば、必ずや道が拓かれます。挑戦を恐れず、しっかりと準備して前進し続けましょう。

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【この記事を書いた人】
 木村 崇志  ココロアップアカデミー講師  臨床心理士・公認心理師

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